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飲食店の出前持ちをしていた青年は、体格はよく、頑健そうにみえます。
しかし、顔色は青白く、眼や足のすねの周囲に若干のむくみがあり、生気がありません。店主が言うには、最近「疲れやすい」といって出前を嫌うようになったので連れてきたのだそうです。診察をしなくても皮膚の色や弾力性、アンモニア様の口臭などから、すぐ尿毒症が疑われました。外来で至急検査をしたところ、血液の尿素窒素、クレアチニンともすでに高く、尿毒症にまちがいないことがわかりました。
この青年の郷里は東北地方で、元来、明朗な性格でした。
慢性腎炎があったことなどつゆ知らず、健康そのものと思いこんでいたので、病院にはまったく縁がなかったのです。
この症例をみると、何年か前に一回でも検尿をしていれば、当然尿タンパクが陽性であったはずです。その時点で手を打てば、このように速く進行しなかったものと悔やまれました。
このような症例は枚挙にいとまがないわけで、慢性腎炎に関しては、自覚症状はあてにならないのです。
※この青年の場合は、過去に一回でも受けていれば、こうはならなかった、という推測がありますが、「前の年までは異常はなかったのに、たまたま一回会社の健康診断をさぼったら、翌々年にはタンパク尿がたくさん出ていた」という人がいます。そこで検査をしてみたら「すでに腎不全だった」という例は少なくない、とのことです。
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