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胃腸の病気 Q&A集

こちらのQ&A集の記事は、某業界新聞に
掲載された内容の転載です。

回答者:寺田病院/胃・大腸・肛門病センター 寺田俊明医師
関連サイト:胃腸.JP


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Q 最近排便の時に血が混ざります。自分では「痔かな・・・」と思っているのですが、不安です。大腸検査は必要でしょうか?また何科に行けばよろしいでしょうか?
 
A 排便時に出血する病気として腸の病気と肛門の病気が考えられます。いわゆる痔(ぢ)を痛いものだと思っている方が多いのですが、痔には内痔核と外痔核というものがあり、内痔核は肛門の奥にできる為に痛みはあまり伴いません。便がこすれる事により浮腫みが強くなり出血するようになります。

また、硬い便をした後や、強くりきんだ後に肛門粘膜が裂けると、いわゆる切れ痔(裂肛)となります。切れ痔は強い痛みを生じます。内痔核の脱出(脱肛)がひどくなると肛門科に受診される方が多いのですが、排便時の出血は自然と止まってしまうこともある為、診察に行かず、様子を見てしまう方が多いのも現状です。たしかに痔では命までとられませんから(出血がひどい場合は除く)、症状が落ち着いている間は市販の軟膏薬や便を軟らかくして様子を見てもよろしいと思います。

しかし、「ただの痔だと思っていたら・・・」ということもあるのです。痔がひどくなる原因として便秘があげられますが、便秘の原因として大腸の狭くなる病気、いわゆる「大腸ガン」があります。つまり、「痔かな・・」と思っていても排便時の出血があった場合は大腸検査をお勧めします。

大腸に出血病変がなければ、肛門の疾患として安心して暮らせますし、検査にて、症状を呈さないようなポリープが見つかることもあります。さて何科にいけば良いかということですが、検査でつらい思いをするのは非合理です。大腸カメラの専門家を探しましょう。しかし、胃腸科と肛門科の両方を受診するのも大変ですから肛門の診察と大腸カメラの両方得意な専門家に相談するのがよいでしょう
 
Q 一日に3〜4回便が出ることで悩んでいます。
下痢をしているのではないのですが、突然の便意に襲われます。精神的なものなのでしょうか?
 
A 近年「過敏性腸症候群」という疾患が話題になっています。

普段から「胃腸が弱い」と感じ、慢性の下痢が、食事と無関係に起きる疾患です。特に会社や学校に行く日の朝食後にお腹の調子が悪くなったり、トイレにすぐ行けない状態の時に下痢を起こします。腸に形態的な異常がないにもかかわらず、腸が正常に機能しない疾患です。

便意が強く、便をしたい気持ちは強い(おなかがしぶる)のに十分排便がでなく、残便感や不快感が残ります。休日や体がリラックスしている時には、症状は現れません。腹痛の部位や程度は人によって様々ですが、左下腹部にでることが多いようです。

原因としては、胃腸と脳は自律神経によりつながっているため、脳が不安や精神的圧迫などのストレスを受けると自律神経を介してストレスが胃や腸に伝達され胃腸の運動異常を引き起こし、腹痛や便通異常が発生するためです。治療方法としては、まず、消化器系の検査を受け、器質的病変(腫瘍、潰瘍、炎症性腸疾患:潰瘍性大腸炎など)がないことを確認しなければいけません。

年齢が若くても起きる疾患は多いので、まず、これらを除外しなくてはいけません。そして、生活環境や行動の変化などが、便通異常や腹痛などに影響があるか否かを分析します。リラックスした生活を目指すため、日常生活の見直しも必要です。軽い運動、スポーツや趣味を活かしたストレスの発散、十分な休息・睡眠をとることが大切です。
 
Q 昔から胃が弱く、胃の検査は大事だとわかってはいるのですが、胃カメラのつらさからどうしても敬遠がちになってしまいます。何かいい方法はありますか?
A 胃カメラは苦しい!! という考えをお持ちの方は非常に多いと思われます。

胃内視鏡(胃カメラ)の苦痛はのどの奥をカメラが通るときに起こる「反射」、のどを管が通っていることや、胃のなかをカメラが動くことによる「異物感」、 胃が空気で膨らむ 「膨満感」 などからなります。

苦痛の本質は「異物感と反射」ですので「のどの敏感なひと」ですと、 どんな名人が検査しても苦痛を0にすることはできません。 しかし浅い麻酔を使い反射を抑え、異物感をとれば信じられないほど楽に検査ができます。多くの診療所では麻酔後の回復室が完備していなかったり、 検査時間に追われるため麻酔を使う施設は限られます。

麻酔というと怖いイメージもあるでしょうが、麻酔は静脈麻酔で年齢、 体重、 基礎疾患により分量を調節するため、安全です。寝ている間に検査は終了してしまうので 「さぁ、検査しますよ」の声を聞いたあと、気づいた時には検査は終了していることでしょう。

日ごろから胃が弱いと感じている方はもちろん、定期検査としての胃の検査は大事です。楽に検査をしてくれる施設が増えれば、もっともっと皆さんの健康の維持に満足していただけるようになると思うのですが・・・。
 
Q 最近付き合いで、お酒を飲む機会が増えました。先日トイレで大量に吐血してしまいました。胃カメラは必要ですか?
A 当然必要です。

吐血の原因は上部消化管(食道,胃,十二指腸)からの出血ですが、アルコールの飲みすぎによって激しい嘔吐を何度も繰り返したのちに起きる吐血は多くが『マロリーワイス症候群』という食道の疾患です。これは急激に腹圧が上がることにより食道と胃のつなぎ目に過度な力がかかり、胃が収縮する衝撃によって食道の粘膜が縦に裂け出血を起こすものです。

飲酒のほかに激しく咳き込んだり、強くいきんだり、お腹を強く打った時にも起きます。大量に出血するケースも多く、緊急に止血を要します。また、吐血の原因が胃潰瘍、十二指腸潰瘍である場合は的確な治療薬を内服する必要があります。

痛みや出血を放置していると潰瘍部がどんどん深くなり、穴があく(穿孔)可能性もでてきます。穿孔は手術になるケースも多く腹膜炎を呈すると生命にも関わってきますので、早めに内視鏡により上部消化管の検査が必要です。
 
Q 医療技術が発達して『がん』は治るようになったと聞きましたがどうなのでしょうか?
A 戦後、日本人の胃ガンによる死亡率が大きく減少しました。

これはさまざまな要因(手術の進歩、術後管理の進歩、抗癌剤の進歩など)が言われていますが、最大の理由は、患者さんが胃ガンの心配から積極的に検査を行なうようになってきた為、胃カメラの進歩、胃カメラを施行する診療所の増加という面から、早期発見、早期治療が行われるようになってきたからです。

しかし日本が欧米化し肉食が多くなるにつれ、大腸ガンによる死亡率が増加してきました。また慢性C型肝炎から肝臓ガンになる方や男性の肺ガン,女性の乳ガンも年々増加している状況です。遺伝子組み替えによるガンにならないようにする治療が近年研究されていますが現在の医療技術ではまだ不可能なことです。

症状がある方はもちろん、症状がなくても定期的な検査をすることで早期発見、早期治療を心がけることが今のところガンに対する最善の対処と言えるでしょう。
 
Q 最近胸がひどく痛いときがあります。心臓の先生に診ていただいたら心臓は問題ないといわれました。どこが悪いのでしょうか?
A しばしば逆流性食道炎のひどい方に「胸が痛い」という症状を強く訴える方がいらっしゃいます。

はじめ心臓が悪いのではと心配されて循環器内科(心臓内科)に受診される方もめずらしくありません。逆流性食道炎は、しばしば食道裂孔ヘルニアに併発する病気です。食道と胃の境界線の筋肉が弛緩しており、胃液(強い酸)が食道に逆流していしまう為に起こります。

食道はもともと胃液に耐えられるほど強い粘膜を持っていませんから下部食道が荒れてしまうのです。「胸焼け」,「げっぷが多い」,「胃痛」という症状を訴える方も多くいらっしゃいます。

診断は胃カメラにより食道-胃入口部の観察をすることで簡単にできます。治療は胃酸を抑える薬を内服することで症状は軽快します。
 
Q 痔の最新治療「PPH法」について教えてください。
A いままで、痔を患っていても手術が大変、痛そう、完治まで時間がかかりそう、とお考えになっていた方は多いと思われます。

従来の痔の手術(もっとも今でも主流の手術ですが)は肛門皮膚より肛門粘膜内に切込みを入れ、発達した静脈瘤を削ぎ落とすものでした。ですから術後に切れ痔の痛みで悩まされることが多く治るまで時間もかかりました。しかし痔の最新治療「PPH法」は、いわば発想の転換で生まれた「脱肛」の手術です。痔の脱肛は直腸の粘膜のたるみが原因です。

そこで、たるんだ粘膜部を環状に切除し、飛び出していた痔の部分を肛門内に吊り上げてしまえば、痔は肛門外に脱出しないというものです。直腸粘膜部には痛みの神経はありませんので切除しても痛みは感じませんし、また痔を養っていた血管も遮断され、徐々に消退していくと推測されるのです。

痛みは少なく、入院日数も短期ですみ、社会復帰が早いことが最大の利点ですが、適応は内痔核,直腸粘膜脱に限られ、外痔核のある方や肛門狭窄のある方は適応外です。
 
Q 右足の付け根が膨らみ、近くの病院でソケイヘルニア(脱腸)があると診断されました。
日帰りの手術を行う施設もあると聞きましたが、如何なものでしょうか?
A ソケイ(鼠径)ヘルニアは昔から「脱腸」と呼ばれてきました。

症状としては立った時や、お腹に力を入れたときに、太股の付け根(鼠径部)が膨隆してくる病気です。鈍痛や引きつれ感を伴うこともあります。先天性,加齢性,職業性などの理由から筋肉層の断裂が起き、本来は、お腹の中にある臓器が(主に小腸)飛び出してきてしまう病気です。一度断裂した筋層は、自然には、もと通りになりません。

手で押し戻し、楽になっているうちは良いのですが、元に戻らない状態(かんとん)になると、強い痛みやしまいには脱出した腸管が阻血(血が通わない)となり、腐ってしまう為、緊急手術が必要となります。通常の医療施設では5日~10日入院し治療するのが一般的ですが、最近では忙しい方のために、ソケイヘルニアの日帰り手術を行っている施設もあります。

しかし日帰り手術は決して従来の手術法より、はしょった手術ではありませんので、手術をしたことによる肉体的なダメージは今までと変わりません。違うところは従来、腰椎麻酔(下半身麻酔)で施行していたところを局所麻酔で行うということです。

当然術後は局部に過度な圧力がかからないように日常生活で入院と同様の注意をしていただく必要があり、また日帰り手術における理解も十分に納得していただける方にしか適応はありません。
 
Q 脱肛しますが、痛みがありません。「いぼ痔」なんでしょうか?手術は必要ですか?
A 「いぼ痔」は正式的には「内痔核」といいます。「内痔核」とは肛門の奥(直腸との境)に生じた静脈のかたまりをいいます。りきみや便秘によりうっ血して膨らみ、出血しやすくなります。

この位置は基本的に痛みの神経がないところなので痛みは伴いません。内痔核の付け根の粘膜が緩んで、たるんでくると肛門の外に飛び出してきます。これを「脱肛」といいます。内痔核に肛門周囲の静脈のかたまりが加わったものを内外痔核といいます。

肛門粘膜は痛みの神経が敏感なため、痛みを伴います。うっ血は軟膏により炎症を抑えると軽快しますが、粘膜のたるみは薬では改善しないため脱肛がある場合には手術による治療が必要となります。

いぼ痔の重症度分類では、出血が主な症状で痔核の肛門外への脱出はないものをT度,排便時に痔核が脱出するが排便後自然に元に戻るものをU度,痔核の脱出を手で押し戻すようになっているものをV度,排便と無関係に痔核が脱出するものをW度と分類しV度以上が手術の適応となります。
 
Q 「切れ痔」って手術で治せるのですか?
A 「切れ痔なのに手術で肛門を切ったらまた切れ痔じゃないか!」と多くの方が疑問を抱くことでしょう。

「切れ痔」は「裂肛」といい肛門が裂けると書きます。硬い便をした後や、急いで排便をした際に肛門が「痛い!」と感じる方は非常に多いと思われます。肛門粘膜には痛みの神経が集中していて無理に肛門が拡張することで僅かでも粘膜が裂けると強い痛みを感じるのです。

治療方法はまず裂けた部分を安静にする為に、水分を多く取り、下剤を飲むことで便を軟らかくすることが大事です。さらに裂けた粘膜を修復する意味で軟膏を塗ると浅い切れ痔ならば簡単に治す事ができます。

しかし、便秘がちの方などは常に肛門に負担のかかる排便習慣なので頻回に肛門が裂けるようになり、同じ場所が何度も裂けたり治ったりすることで、その粘膜は硬くなり、いわゆる伸び縮みの融通の利かない粘膜となってしまいます。

その場合硬くなってしまった粘膜を切除して融通の利く粘膜に置き換えるのが切れ痔の手術です。また、中には何度も肛門が裂けることにより肛門が狭くなってしまう(肛門狭窄)方がいます。その場合も肛門を拡張する為に手術が必要です
 
Q 『大腸カメラ』って痛くて苦しいと聞きますが、いかがなものでしょうか?
A 大腸内視鏡(大腸カメラ)の苦痛は胃カメラの苦痛である「異物感と反射」と違いもっと直接的なものです。これは腸管の屈曲した部分を硬い内視鏡を無理に押し込んで通過させようとすることから起こります。

特に、以前おなかの手術をしている方は多少なりとも腸の癒着が生じており、屈曲部が多いため胃内視鏡のように浅い麻酔で痛みが消えるという性質のものではありません。つまり痛みの程度は患者さんの感覚の違いではなく術者の技術に関係しているといえるのです。同じ患者さんでも挿入の仕方により苦痛は驚くほど違います。

経験豊富な大腸専門の医師は「軸保持短縮法―少量送気法」や「無送気−水注入法」などといった技術を使い検査を施行しますが完璧にマスターするまでは2000件以上の大腸内視鏡検査歴が必要とされ習得に難しく、まだできる医師はさほど多くはないのが現状です。

例えばゴルフでも同じことです。あまりラウンド経験のない方とプロやアマチュアシングルの方ではプレーに差がでるのは当然ですよね。症状のある方はもちろん、食生活の欧米化で『大腸がん』が増加しているわが国としては今後、予防医学という点で大腸の検査が非常に重要になってくるのは必至です。楽に検査を施行してくれる施設が増えれば皆様の健康維持のお役にたてるようになるのですが・・・。
 
Q 先日、大手大学病院で大腸のバリウム検査を施行しました結果「10mmほどのポリープが疑われる」ということで、大腸カメラを施行しましたが『異常なし』でした。こんなことってあるのですか?
A 大腸のバリウム検査は大腸カメラが今のように普及されるまで大腸検査の二次検査として活躍してきました。肛門からバリウムを注入し、その後に空気を送り込むことによってバリウムの粘膜面のはじき具合をレントゲンで撮影し、粘膜の凸凹をみてポリープなどを診断します。

しかし、腸は体内で真っすぐに固定されているのではなく、くねくねと曲がりくねっており腸が重なって見えにくい所もあれば、便の塊が残っていて、まるでポリープのようにバリウムがはじかれる像を呈することがあります。これは検査自体の限界であり、仮に便が強く疑われても、大腸カメラによって念のため精密な検査を施行する必要があるのです。

つまり、はじめから大腸カメラを施行すればよろしいのですが大腸カメラを苦痛なくスムーズに挿入するには検者の数多くの検査経験が必要とされるため、多くの施設でまだバリウムの検査で振り分けることをしているのが現状です。
 
Q 最近食事が喉を通らず、体重も減っています。検査が必要でしょうか?
A 食欲は脳の視床下部というところにある食欲中枢にてコントロールされます。空腹になると、胃の中が空になって収縮する運動や、血液中の血糖値が低下に食欲中枢を刺激して食欲が起こります。

食事をして血糖値が上がると、食欲中枢の満腹中枢はそれを感じて食欲がおさまります。視床下部には自律神経の中枢もあることから、ストレスや胃腸の不調で自律神経の働きが乱れると、食欲中枢も影響を受けて、食欲不振となります。

ストレスは胃腸の働きを低下させ、一時的に食欲を低下させますが、ストレスが消えると食欲は戻ります。しかし、問題となるのは長期の食欲不振による体重の減少です。

これは悪性腫瘍(食道癌,胃癌,膵臓癌,大腸癌)の進行した状態での自覚症状とも考えられますので早急の精密検査をお勧めします。
 
Q 先日急激な腹痛とともに大量の血便がでました。近医にて「虚血性腸炎」という診断を受けました。原因と治療方法を教えてください
A 脳を養っている血管が詰まると「脳梗塞」になります。

心臓を養っている血管が詰まると「心筋梗塞」になります。これと同じことが大腸にもおきて、大腸を養っている血管(腸間膜動脈)が詰まるとその領域の腸は血行不良が生じ壊死してしまいます。これが「虚血性腸炎」です。

もともと高血圧や糖尿病、動脈硬化などの基礎疾患を持っている方に多く発症しますが、便秘の方に多く、お年よりだけではなく、若い方にもなることがあります。症状は、突然の腹痛と血便を呈します。診断は大腸内視鏡検査にて容易にできますので、大腸検査の出来る胃腸科への受診が必要です。

治療は数日入院で絶食とし腸を休め、抗生物質を投与し炎症を鎮めます。若い人に発生した場合は4〜7日位の安静入院でよくなるのが普通ですが、全身状態の悪い御老人に発症した場合は数日以内に、腹膜炎、敗血症という経過をたどり重症となることもめずらしくありませんので早めの対応が必要です。
 
Q 昨年の検診で便潜血が陰性だったのに、今年の検診で便潜血が陽性となった為、精密検査を受けたら、「大腸ガン」がみつかりました。これは検査のミスですか?
A  便潜血検査を大腸ガン検査としている施設や、検診機関が多いですが、実際に便潜血検査は便の中に血が混じっていなければ陽性にはならないので、大腸ガンでもごく早期なものや、進行癌でも、たまたま出血していない場合は、便潜血検査は陰性という結果になることがあります。また逆に肛門疾患(いぼ痔、切れ痔)でも陽性と出てしまいます。

つまり便潜血検査は国民全体におこなう「集団検診」として意味のある検査なのですが「早期癌を見つけたい」と希望される患者さんには便潜血検査は期待にはこたえられないものなのです。大腸ガンは前癌病変(ポリープ)のうちに内視鏡によって切除すれば、ガンを予防できます。

また、ポリープがたとえガンになっていても早期(粘膜内癌)に発見できたら完全に内視鏡にて切除し治すことができます。大腸カメラは現在大腸ガンを予防するためでも早期大腸ガンを治すうえでも最も有効的な検査といえるのです。

胃でも大腸でもガンにならないようにすることは現在の医療技術ではまだ不可能です。症状がある方はもちろん、症状がなくても定期的な検査をすることで早期発見、早期治療を心がけることが今のところガンに対する最善の対処と言えるでしょう
 
Q 腹痛や下痢が続き時々便に血が混ざります。何か悪い病気でしょうか心配です。
A  炎症性腸疾患という病気があります。大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍を引き起こす原因不明の腸炎のことで潰瘍性大腸炎、クローン病に大別されます。

原因は腸内に棲む細菌のバランスが崩れたこととする細菌説。人間の免疫機構(体を外敵から守ろうとする体内の防衛システム)が体の一部であるはずの大腸の粘膜を敵として認識して攻撃し破壊しているという自己免疫異常説。

また食生活やストレスが大きく関与している説などさまざまですが、結局はっきりした原因はわかっていません。 発症年齢は男性で20〜24歳、女性で25〜29歳をピークとします。初期の症状は腹痛とともにゼリー状の粘液が排便時に多くなり下痢の傾向になります。

放置しておくと粘液の量が増えるとともに血液が混じるようになり(粘血便)、血便が出るようになります。さらにひどくなると一日に何十回も粘血便を繰り返し体重も減少します。まれに便秘も認められます。一般に経過は緩やかで悪くなるとき(再燃)と、良くなるとき(緩解)を繰り返しますが、電撃的に急激な発熱と粘血便で発症するときもあります。

多くの場合薬物療法や食事療法にて一時的もしくは永続的に症状は緩解しますが、症状が改善されても医師の指示があるまでは通院する必要があり、特に慢性持続型、発症から10年以上経過している例、全結腸型の例では癌化の心配もあり定期的検査が必要です。
 
Q 先日、主人の胃がんが見つかりました。先生から本人に告知するかどうか考えてきてくださいといわれました。どうしたらいいでしょうか?
A  『がんの告知』に対する考え方は医師や病院によって違いますので正論というものはないと思います。がんの進行度や社会的影響そして患者様の性格や精神状態などを総合して考慮するものですが、最終的にはご本人の考え方や家族の方の意見が尊重されます。

医療の進歩により総合的に癌の生存率は増加してきました。しかしその理由は進行癌が治癒するようになったわけではなく、早期癌の発見による早期治療からの治癒率が高まってきたからに過ぎません。

末期癌の状況で発見された場合の対応は医師であれ家族であれ、その患者様の『死に対する尊厳』と向き合わねばなりません。現在の医療は『インフォームド・コンセント』という医師が患者に病気の説明や情報を話し、同意の上で治療を開始することが基本原則となっています。

患者様本人が病気のことを軽く考え、非協力的である場合は治療に支障が生じる場合も起きてくるのです。しかし人間はこころや感情を持っています。告知が治療の上で最善でない場合もあります。『がんの告知』は人類の永遠の課題なのかもしれません。
 
上記記事は、過去に新聞掲載されたQ&A集です。

 
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